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プリンス×プリンセス

第22章 そういう事、ですか

「では、失礼します」

出来上がった書類を手に、ディオチェスター様の部屋から出た。

さて、これを担当大臣の元へ届けさせて…

これからの段取りを考えながら廊下を歩いていると

「ジューク」

背後から呼び止められた。

「はい、何でしょう?」

にこやかな表情を作り、振り返れば

あぁ、やっぱり

ティアナ様が、グラスを乗せたトレイを持って立っていた。

「呼び止めてごめんなさい。今、忙しいですか?」

「いえ、大丈夫ですよ?」

すると、ティアナ様はホッとしたように相貌を崩した。

「さっきはありがとう」

「礼などいりませんよ?」

礼を言われるほどの事はしていない。

なのに、わざわざそんな事を気にしていたとは…

ティアナ様の純朴さに、思わず笑みを浮かべる。

「テリオス様のお加減はいかがでしたか?」

「久しぶりだからかしら。喜んで飲んでくれたわ」

空のグラスを見れば予想は出来る話だ。

けれど、ティアナ様があまりに嬉しそうに話すから…

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