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プリンス×プリンセス

第22章 そういう事、ですか

「それはよかったですね」

まあね、と肩をすくめながらも、その表情は晴れやかだ。

厨房で会った顔よりずっといい。

「元気が出たからって、今も庭で薔薇の手入れをしているのよ?」

くすくすと笑うティアナ様に相槌を打ちながら、頭では別の事を考えていた。

薔薇

今日は薔薇に縁がある日だな。

「そういえば、お城のローズガーデンもテリオス様がお世話をなさっていたのでしたね」

「ええ。手入れをし始めたのはいつからだったかしら…」

遠い目をして…思い出を辿っているのだろう。

少しばかり切なそうに見えるのは、気のせいだろうか?

「テリオス様は本当に薔薇がお好きなんですね」

気分を変えようと話を振れば、ティアナ様は大きく頷いてから笑みをこぼした。

「昨日もね、摘み取らなきゃならない花芽があるって、落とした花を活けてくれたのよ?」

ん?

「それは、薄いピンクの薔薇…ですか?」

これは予感だ。

あまりにも確信めいた予感。

「ええ。そうよ」

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