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プリンス×プリンセス

第24章 お前だったのか

騙された気分で、不満をあらわにしていると、ディオが奥の部屋から出てきた。

俺は急いで一輪挿しを取り上げると、洗面台へ向かって、ディオから距離を取った。

水を代えていると、ディオが話しかけてきた。

「お前が替えてくれていたのだな」

「そうだよ」

即座に答えを返し…

でも、これだけではあまりに素っ気なさ過ぎるか?

「気に入らないなら」

「ありがとう」

ほぼ同時に発せられた言葉。

だけど、あまりに意外な言葉だったから…

「へ?」

俺の耳がおかしいんだろうか?

ぽかんとディオの顔を見ると、ディオに笑われてしまった。

「何だ?そのマヌケ面は」

「いや、だってよぉ…」

そんなにストレートにお礼を言われると思わなかったから。

どう返すのが正解なんだろう?

モゴモゴと口の中で言葉を探していると、ディオが眉を寄せた。

「体の具合が悪いと聞いた」

おいおい。いつの話だよ。

「かなり前の事を、今みたいに話すなよ」

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