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プリンス×プリンセス

第28章 晩餐会で…

現実とかけ離れた言葉に、冗談を言われているとしか思えなくて笑みをこぼすと

「貴女の微笑みは、まるで薔薇の蕾がほころぶようです」

男はいくらか頬を上気させて言葉を紡いでいる。

「私に、満開に咲き誇った表情を見せて頂けませんか?」

「はい?」

男の勢いに圧倒されて目を丸くすると

「ぜひとも私と一曲お付き合い下さい」

そう言って、胸に手を当てて一礼した。

…えーっと…?

これは…ただ単に、ダンスの誘いをかけてきた、って事だよな?

呆気に取られるのと同時に、男の誘い下手さに頬が緩んでしまった。

俺だって女性をダンスに誘うのが得意な訳じゃないけど、ここまでひどくないぞ!?

それにしても、こういう場合はどう言ったら正解なんだ?

姉上の立場も悪くならないで断る方法って…

「いえ、私は…」

無難に返そうとしたら

「悪いが、断らせてもらう」

凛とした声が遮ってきたので、咄嗟にその方向を見た。

「ディオ…」

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