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プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

幸い、って…どういう意味だよ!?

ジュークの言葉に反応しそうになり…

ジュークは俺とディオが何をしたのかを知らないはずだ。

過剰に考えすぎちゃ駄目だ。

ぐっと言葉を飲み込み、何でもないような表情を作った。

「ん、分かった」

気楽に聞こえるように答えて、反対側のマッサージを続けていると、ジュークがディオの前に回った。

「では、私はこれで」

胸の前で手を添えて一礼するジュークに、思わず抗議じみた声を出してしまった。

「え!?」

「おや?何かご用でも?」

焦る俺に、ジュークが唇を半月状に曲げる。

「いや…そうじゃないけど…」

「でしたら、もう私の職務は全う致しましたので。休ませて頂きます」

追い討ちのように言葉を重ねられて。

ぐうの音も出ないって、こういう事だろうか?

「あ…うん」

頷くしかない。

そんな俺と、我関せずなディオを等分して見ると、廊下に近い方の扉を指した。

「私の部屋はこちらですので、何かありましたらお呼びください」

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