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プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

最後、ファスナーを腰まで下げられて、やっとドレスから解放された。

「ありがとう」

袖から腕を引き抜きながら、とりあえず礼を言った。

そのままドレスを足下へ落とし、踏まないように大きく歩を踏み出す。

クローゼットの中へドレスを吊り下げて片付けるまで、背中にずっとディオの視線を感じていた。

クローゼットの扉を閉めて振り返れば…やっぱりこっちを見ていやがる!

「…何だよ!?」

ドレスを脱いだから、今の俺は下着1枚の姿で…

正直、じっと見られるのは不快だ。

ディオを睨むように見上げると、ディオは眉を寄せてぼそりと呟いた。

「その背中の跡は…」

背中?

鏡に背中を写して見て、それを見つけた。

「ああ、名誉の負傷だぞ」

わざと明るく言って、ニヤリと笑ってみせる。

婚約会見の時、姉上を守って撃たれた。

その時の火傷の痕だ。

痛みもなくなったし、皮膚も色が少しだけ濃いかなってくらいに落ち着いてきてる。

「もう消えかかってるだろ?」

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