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プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

鏡に写しても、よく見ないと気付かないくらいになったと思ってたのに。

何でそんな事…

ディオが何を考えているのか見当がつかないままでいると、ディオは低い声で言った。

「外傷は、な」

「は?」

こいつ、何を言ってるんだ?

意図がつかめず顔をしかめた。

「昼間、爆発音に驚いていたな」

唐突に話が変わり、しかめた顔の眉間の皺が深くなっていく。

昼間の爆発音。

思い当たるのは、パレードの時の事…

「ああ…風船のな」

そりゃあ誰だって、突然あんな音が鳴れば驚くだろう?

それと何の関係があるんだ?

首をひねる俺に、ディオは短く息を吐いた。

「狙撃音と間違えたのか?」

「な…」

何を言ってるんだ!?

そう言おうとしたのに。

喉が貼り付いたみたいに、声が出なかった。

「お前の態度がおかしかった」

淡々と答えるディオを、口を引き結んで見続けた。

そんな俺の視線を真っ正面から受け止めると

「あの事件で、心の傷は癒えてないんじゃないのか?」

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