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プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

熱いシャワーを頭から浴びて目を閉じる。

…何だよ…っ!

頭を振れば、水を含んだ髪の束からしすくがこぼれ落ちて、肌を伝っていった。

意識しすぎ…なんだろうか?

ディオはいつも通りで、俺だけ空回りしてる。

いつも通り…?

シャワーを止めると、シャンプーを手に取った。

頭を洗いながら考える。

あいつの『いつも』って…どんなだった?

イヤミで、いけ好かなくて、冷淡で…とにかく嫌な奴。

出会った時も、この国に来てからも、ずっとそう思っていた。

だけど、それは俺がずっとそう思って接していたから…なのか?

髪を洗い終わり、体も洗っていく。

受け止め方が変われば印象も変わる。

ディオは確かに冷淡だけど、言ってることは間違いじゃない。

それはあいつなりの考え方であって、それが俺と相容れない時もあって。

ま、そういう時が多すぎるのもどうかと思うけど。

短く笑いをこぼすと、思いの外声が反響してドキッとしてしまった。

ふぅ…と息を吐くと、シャワーのコックを捻った。

排水溝に向かって流れていく泡を眺める。

ディオは最初も今も変わらない…のかもしれない。

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