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プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

ディオは普通に歩いてるはずなのに。

その歩みが、何故だか妙にゆっくりしたテンポに感じられる。

そして、ディオが近付くにつれ…胸が震える。

浴槽にたどり着いたディオが、俺に向かって手を伸ばした。

逃げろ!!

そう思うのに…

体が痺れたみたいに、思うように動かない。

せめてもの思いで身をすくませると、両目をぎゅっと固く閉じた。

………ん?

身構えたまま、暫く経った。

のに。

何も起こらない…?

おそるおそる、片方の目を開いてみた。

すると

「うわっ!!」

突然、上から真っ赤な何かが降ってきた!

慌てて仰け反って立ち上がり、それを振り払う。

そんな俺を面白そうに笑うディオの声に、はっと我に返った。

「お前…笑ってんじゃねぇ!!」

「そんな反応をするとは思わなかったのでな」

まだクックッと笑ってやがる!!

何をばらまきやがったんだ!?

ムッとして、湯槽に浮かぶそれに目を向けて…

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