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プリンス×プリンセス

第29章 男で構わない

「べ、別にビビってなんか…」

「そうか?顔色は良くなかったが?」

それはお前が急に現れたからだろ!?

「さあ?気のせいじゃないのか?」

素っ気なくとぼけると、湯槽に深く浸かった。

ディオは小さく笑いをこぼすと、扉へ向かっていった。

「ゆっくり楽しんでくれ」

「どうも」

パタン、と音を立てて扉が閉まり、やっとこの空間に一人だけになれた。

「…はぁ…」

静かな空間に、ため息が響く。

昼間の爆発音のせいだ。

あれがなければ、背中の傷も笑い話になったし、花火が鳴ったからって様子を窺われる事もなかったんだ!!

「くそっ!!」

悪態をついて、前髪をかきあげた。

濡れた手で触ったから、髪から滴がポタポタと落ちてくる。

頭を振って追い払うと、天井を見上げた。

様子を見に来て…俺の顔色が悪くて。

水面に浮かぶ花弁を指に取ると、くるくると回して眺める。

この薔薇の花は…俺の気を紛らわせるため…?

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