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プリンス×プリンセス

第30章 私じゃない

「お前の世話をしているのはカムリだけなのか?」

「え…」

「カムリだけに渡して、他のものがどう思うか…よく考えてみろ」

確かに、それはそうかもしれない。

主人が従者を贔屓すれば、同じ待遇で働いている仲間からよく思われないかもしれない。

それはカムリの立場を悪くすることに繋がる。

カムリを大切に思うなら、なおのこと他の人と差をつけてはいけないんだわ。

「テリオス」

そっと名前を呼んで顔を覗き込むと、テリオスは眉間にシワを寄せて何やら考えていて…

「ジューク」

顔を上げると、おもむろにジュークを呼んだ。

「俺に関わる仕事をしてるのは何人いるんだ?」

「は…」

突然の問いに、ジュークは目を丸くした。

あら、こんな表情もするのね。

いつもそつなく物事をこなしてしまうジュークの意外な表情に、思わず頬がほころんでしまった。

そんな私に気付かず、ジュークは空を見据える。

「そうですね…ざっと200人くらいでしょうか?」

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