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プリンス×プリンセス

第30章 私じゃない

「なら200本買う」

即答したテリオスに、ジュークは瞬きを何度か繰り返し、ディオは眉をひそめた。

「お前は馬鹿か」

全く相手にならないといった様子のディオに、テリオスが噛みついた。

「何でだよ!?」

「考えた結果がそれか?」

そう言って、ディオは冷笑を浮かべた。

これ以上は隔たりが酷くなるだけだわ。

テリオスの腕を引き、小さな声で助言をした。

「テリオス、お酒の得意ではない人もいるから、全員にワインはどうかと思うわ」

「あ…そうか」

良かった。これで考え直してくれるかしら。

内心、胸を撫で下ろしていると、外交官が口添えをする。

「でしたらブドウのジュースはいかがですか?ワインに使う品種ですが、ジュースとしても美味しいものがありますよ?」

……あぁ。

せっかく諦めさせようと思ったのに。

目を閉じて息を吐くと、ディオが短く笑った声が聞こえた。

え?

驚いてディオを見れば

「薦め上手だな」

外交官にそう言って、ニヤリと笑っていた。

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