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プリンス×プリンセス

第31章 泣かせたりしないのに

翌日…

テリオスに用があって、彼の自室を訪ねた。

ドアをノックして…

「テリオス?いいかしら」

声をかければ、カムリが顔を覗かせた。

「ティアナ様。テリオス様は今、シャワーを浴びているのですが…」

「あら、また庭仕事?」

「はい。先程終えられた所で」

体が汚れて浴びているだけなら、そんなに時間もかからないでしょう。

「待たせてもらっても構わないかしら?」

「は、はい。どうぞ」

緊張した様子のカムリの横を通り抜けて部屋に入る。

「あ、どうぞ、こちらへお掛けください!」

ギクシャクとした動きでソファーを薦めてくるカムリに、思わず頬が緩んだ。

「何か飲まれますか?ご用意致します」

「ありがとう。でも大丈夫よ」

柔らかく断ると、カムリは明らかに意気消沈して、所在なさげに視線をさ迷わせた。

急に訪ねてきたからかしら?

こんなに緊張させるつもりは無かったのに…

「そんなに気を使わなくていいのよ?」

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