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プリンス×プリンセス

第31章 泣かせたりしないのに

肩を震わせるカムリに、テリオスはニヤリと笑う。

「あ、カムリ。笑ったな!?」

「あ、すみません。失礼しました」

カムリはすぐに謝った。

けれど、ペコリと下げた頭を戻してテリオスを見るその表情は。

恐縮とかとはかけ離れた、柔らかい笑みで…

その顔に、胸の奥がツキンと痛む。

ほら、さっきと全然違う。

私の時とは違う、優しい穏やかな空気感に、何故だかいたたまれなくなって

「ほら、テリオス。シャツくらい羽織って頂戴」

笑いを浮かべて、明るく演技をした。

「分かったよ」

…あら?

服を取りに奥へ向かおうと背を向けたテリオスに、違和感を覚えた。

「あなた…背中に痣なんてあった?」

テリオスの背中に、うっすらと赤くなった部分があった。

私の知る限りでは、そんな痣、見覚えがなくて…

するとテリオスは、急いで振り返ると早い口調で言った。

「あ…ああ、ちょっと怪我して。でも!もう治ってるから大丈夫だよ?」

「そう…?」

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