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プリンス×プリンセス

第31章 泣かせたりしないのに

怪我なんて、いつしたのかしら?

あの状態を見ると、フェールロコノに来てから…よね?

もしかして、あの婚約会見の時?

テリオスの背中に回した手が赤く染まって…

今思い出してもゾッとする出来事。

でもあれは赤インクで、テリオスは怪我なんてしてないって言っていた。

だったら、何の痣なの?

「それで、姉上。何か用でもあった?」

テリオスが話題を振ってきて、それで察した。

…聞くなって事よね?

息を吐いて口角を上げると

「あ、そうそう。この雑誌、見た?」

手にしていた雑誌を顔の横に掲げると、明るく楽しそうに見えるように振る舞う。

「ん?何それ」

「ついにあなたも特集されるようになったのね」

意味が分からなかったのか、首をひねって私に近付いて…

雑誌の表紙のロゴを見て、ようやく気付いたみたい。

「あー、この間の…」

眉をしかめて、面白くないと言いたげな表情を浮かべた。

「そんな顔をしないで。お兄様も記事の内容に喜んでおられたわ」

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