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プリンス×プリンセス

第31章 泣かせたりしないのに

「テリオス!?大丈夫?」

「あー、うん。平気平気」

鼻を拭って笑って見せるけど、そのままでは湯冷めをしてしまいそう。

「いつまでもそんな格好でいるからよ。早く着ていらっしゃい!!」

「はいはい」

「風邪を引かないように、ちゃんとね」

私の言葉に、テリオスは苦笑いを浮かべると、カムリと共に奥の部屋へ向かった。

全く…いつまでも子供みたいなんだから!

小さく笑うと、テリオスがテーブルに置いていった雑誌に目を落とした。

テリオスは顔をしかめていたけど…

雑誌を広げて、その中のテリオスの姿を辿っていった。

どの写真を見ても、テリオスは楽しそうに笑っている。

その周りの人達も、笑顔でテリオスを見ていて…

その表情に嘘はない。

だからこそ…本当に羨ましい。

外交先で、私はどんな顔をしていたかしら。

私の周りの人々は…笑っていた…?

目に留まったのは、パレードに手を振っている写真。

バルコニーから身を乗り出して、大きく手を振っているんだろうなと思われるもの。

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