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プリンス×プリンセス

第31章 泣かせたりしないのに

驚いた私に近寄ると

「こんな時間に何をしているのですか?」

詰問するような強い口調に、私の疑問を口にする事が出来ない。

「いえ、ちょっと、何か飲もうと思って」

うまく嘘がつけなくて。

とりあえずな言い訳を話すけれど、そんな私の表情に気付いたのかしら?

「…泣いていたのですか?」

とっさに目元を拭い…でも、指先に涙など付かなかった。

「いえ、そんな事…」

否定はしたものの、ジュークは納得しない。

指で拭った時点で、泣いていたのを認めたようなものだから、当然よね。

居たたまれなくてジュークから視線をそらせば、ジュークからため息がこぼれて…

「紅茶でもよろしいですか?」

「え?」

「よければ、ご馳走させてください」

突然話が飛んで、戸惑っていると

「そんな顔のままで戻す訳には参りません」

そして手で方向を示されて…

「…はい」

ジュークの申し出に、従うしかなかった…。

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