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プリンス×プリンセス

第32章 一番の友達

それにしたって!

昨日の夕方、カムリに薔薇の手入れを教えていた時も。

何気に顔を上げたら、執務室の窓からこっちを見ているディオと目が合った。

なのに、何もなかったように顔をそらされ、部屋の奥へ戻りやがった。

……いや?別にいいんだぞ?

そこで笑顔で手を振られても困る。

…だよな?そうに決まってる。

自分に自答して何度も頷いていると、カムリが言葉を選ぶように慎重に話した。

「先程も…ディオチェスター様もお見送りされたかったと思いますよ?…多分、ですけど」

多分、か。

いや、それもはずれだ。

「申し訳ありません。ディオチェスター様はどうしても次の議会の準備で席を外せないと…」

ジュークの言い訳に姉上は目をさ迷わせていた。

嘘ついてまで見送らないって何なんだよ!?

眉間のしわが深くなった所で、ハッと我に返る。

…別にいいけどな!!

アイツに見送られたからって、何かある訳じゃないし!!

なのに…何でこんなにイライラするんだ?


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