テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第32章 一番の友達

フェールロコノからエストラーザまで、さほどの距離を感じなかった。

時刻を確認して、それが感覚だけじゃなくて、実際にそうだったと気付く。

思っていたよりも早く着きそうだな。

車の窓から外を眺めて、ふと思い付いた。

「そうだ。カムリ、ちょっと寄り道いいか?」

「え?どちらへ?」

戸惑いの声を上げるカムリに、含み笑いを浮かべると

「道案内するから」

そして、俺の指示通りに車を走らせて行くと、どんどん道が細くなっていった。

「どこへ向かっているんですか?」

不安そうにハンドルを握るカムリについ笑ってしまう。

「まあまあ。行けば分かるから」

そして目的の場所に着いた。

「ここは…?」

カムリは車から降りて周りを見渡している。

柵に囲まれた一帯の、唯一の出入り口へ向かいながら説明した。

「一応、王家御用達の果樹園だぞ?」

「果樹園…どうしてここへ?」

城に戻らずにここへ来たことを疑問に思うのか、カムリは首を傾げている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ