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プリンス×プリンセス

第32章 一番の友達

「ほお」

「テリオス様!?」

咎めるように俺の名を呼ぶカムリを、腰に手を当てて見据える。

「いいんだって。向こうでどう言われようが、今はエストラーザにいるんだから」

「ですが」

「そんな顔をすんなって」

な、と顔を覗き込めば、カムリは困ったように笑いを浮かべていた。

フェールロコノでこんな事言えば、ディオとかジュークが何やら言ってくるって知ってる。

だからここに来たんだ。

口を曲げて我関せずとばかりにしているおっちゃんに

「おっちゃん、今ってもう時期だよな?」

そう聞けば、ピンときたらしくニタリと笑った。

「ん?ああ、頃合いだな」

「やっぱり」

良かった。そうじゃなければ来た意味がない。

「中入っていい?」

するとおっちゃんはガハハと豪快に笑って

「駄目だって言ったって聞かないだろうが」

そして俺たちに道をあけてくれた。

「さんきゅー」

入り口の門をくぐって、立ち止まったままでいるカムリを手招きした。

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