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プリンス×プリンセス

第32章 一番の友達

そして…

「カムリ」

声をかけると、カムリが顔を上げて俺を見て…

「うわ…っ」

うわごとのような声を上げて、俺を…俺の後ろを見ていた。

「凄いだろ?」

俺の後ろに広がるのは桃林。

青空を埋めるほどに薄桃色の花が咲き誇っている。

口をポカンと開けて桃の花を見上げているカムリの姿に、自然と笑みがこぼれた。

「俺の一番好きな季節の、一番好きな景色なんだ」

俺の言葉に、カムリは微笑んで俺を見た。

「カムリに見せてやりたくて」

そう告げると、俺を見たカムリの目が潤んでいって…

「何で泣くんだよ」

笑いながら肩を小突くと、カムリは慌てたように目を拭った。

「テリオス様は優しいですね」

笑みを浮かべながらも、口の端が震えてる。

「お気に入りの場所に連れてきて下さったり、さっきの…友達だと仰って下さった事も、嬉しいんです…けど」

けど?

何か不快感を与えてしまったんだろうか?

瞬きをしてカムリの言葉を待った。

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