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プリンス×プリンセス

第32章 一番の友達

するとカムリは泣き笑いのような表情を浮かべて

「これだけ一度に事が起こると、何だか…もう会えないような気さえしてきて」

「何だよ、それ」

別れの言葉めいたものを言われて、思わず苦笑いがこぼれた。

いつまでもフェールロコノにいるつもりじゃないって俺が思ってる事に、カムリも薄々気付いているんだろうか?

「兄上の用を済ませたら、またフェールロコノに行くからさ」

だけど、前ほど長居はしないかもしれない。

そう思っている事は…今は伝えなくてもいいだろう?

「…はい」

無理やり作った笑いを浮かべて、カムリは空を見上げた。

そんなカムリを微笑ましく思う。

慕ってくれて、気にかけてくれて。

カムリが世話役で本当によかった。

俺もカムリの横で景色に見入る。

明るい陽射しのせいだけじゃなく、柔らかで温かい空気がそこには漂っていた。

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