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プリンス×プリンセス

第34章 サーバル国へ

「カムリを悪く言うなよ」

俺の声音に、兄上は一瞬怯んだけど

「まぁ、仕方ないよな」

すぐに薄笑いを浮かべた。

「お前の事より、ディオチェスター殿の方が大事なのは当然だからな」

兄上の言葉にカチンときた。

だけど、何も言い返せない。

そりゃあさ、カムリの雇用主はアイツだからな。

カムリがどんなにいい奴でも、アイツの方を優先するのは仕方ないし、当然だ。

だけど面白くない。

ムッとしたままシートに沈み込むと、兄上は片方の口角だけ上げて、笑みに似た表情を作った。

「もうすぐ着くぞ。緊張感を持て」

…姉上の時もそうだったけど。

緊張してるのは、兄上の方じゃないのか?

小さく笑みをこぼすと、シートに座り直し、姿勢を正す。

そんな俺を見て、兄上は満足げな表情を浮かべた。

サーバル国のシエンタ王女…か。

自分の結婚相手なのに、顔もどんな人なのかも知らないってのは気に入らない。

会うのが楽しみな、怖いような…複雑な気分だ。

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