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プリンス×プリンセス

第34章 サーバル国へ

「悔しいか。さすがにお前もそう思うだろう?」

はい!?

謎の同意をされて、面食らって兄上を見れば、分かっているぞとばかりに頷いていて…

「そうだね」

否定して揉めるのも何だし。

早く事が終わるように、適当に相槌を打った。

「そんなに気落ちする必要はないぞ?」

別に気落ちなんかしてない。

ただ、乗り気じゃないだけだ。

「相手はお前を気に入っているんだからな」

「へー。そうなんだ」

そんな慰めなんか要らないのにな。

必要以上に気を使っている兄上の姿に、心の中で笑ってしまうと

「お待たせ致しました。皆様、ステージをご注目下さい」

アナウンスを聞き、来賓のざわめきが小さくなる。

「いよいよだな」

兄上の呟きの後、ステージに一人の女性が現れた。

「あれが…」

俺の言葉に、兄上はゆっくり頷いた。

「そうだ。シエンタ王女だ」

シエンタ王女はゆっくりと自分の席へ向かう。

薄浅葱色のドレスから伸びた手足はすらりとしている。

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