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プリンス×プリンセス

第34章 サーバル国へ

「分かってる」

苛立ちを抑えて、笑顔を心がけた。

なのに、実際口をついた言葉は、思っていたよりも語気が鋭くて…

しまった!!

兄上を見れば、険しい表情を浮かべて俺を見ている。

慌ててシエンタ王女の元へ向かおうと立ち上がりかけた…けど。

あ…出遅れた、な。

とっくに彼女は何人かの取り巻きに囲まれて話をしていて、俺の入る余地は全くなかった。

「テリオス、落ち着け」

兄上は俺の腕を軽く引いて注意してきた。

は?…落ち着け?

俺は落ち着いてるのに。

ため息を一つつくと、肩をすくめて笑ってみせた。

「ごめん。頭を冷やしてくる」

「そうだな、それがいい」

明らかにほっとしたような様子の兄上に、軽く頭を下げて席を立った。

バルコニーへ続く出入り口の前に立つ従者へ声をかける。

「中座しても構わないか?」

従者は張り付けたような笑みを浮かべた。

「はい。皆様ご歓談中ですので、どうぞ」

「ありがとう」

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