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プリンス×プリンセス

第35章 噴水の前での約束

目を固く閉じて、頭の中から奴を追い払おうとしていると

「それで…お会いしたくて」

やけに近い距離で声が聞こえた。

目を開けば、ミルクティーブラウンの髪が視界の隅で揺れている。

「え!?」

いつの間に距離を詰められたのか。

シエンタ王女の膝が俺の足に当たる程、近くで…

シエンタ王女のコロンだろうか?

ベリーのような、甘い香りが漂っている。

「シエンタ王女…?」

どくん、と鼓動が跳ねた。

俺を見るシエンタ王女の瞳。

エメラルドのような綺麗な緑色から、目がそらせなくて…

「テリオス様にお会いしたかったんです」

頬を染めて力強く語る。

その声音とは逆に、瞳は涙で潤んできて…

ふと、兄上の言葉がよみがえった。

『相手はお前を気に入っているんだからな』

あれは…あながち嘘ではなかったのか。

だからあの時、兄上はあんなに強気だったのか?

…成る程、な。

兄上があんな態度をとる程に熱烈に招待してくれたのなら。

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