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プリンス×プリンセス

第35章 噴水の前での約束

会場へ戻るテリオスの後ろ姿を、シエンタはじっと見つめていた。

すると、背後からアリオンが声をかける。

「いかがでしたか?」

「思っていたよりも簡単だったわ」

さらりと告げるその口元は笑みを浮かべているのに…

その目は冷たく、テリオスを眺め続けている。

そんなシエンタに、アリオンはため息をついた。

「またあなたはそんな事を…」

「大丈夫よ。失敗はしないわ」

息を吐いて顔を伏せると

「フェールロコノに取り入るチャンスだもの」

まるで自分に言い聞かせるように、決意のこもった口調で話した。

「絶対に気に入られてみせる」

そんなシエンタを見て、アリオンは首に手を当てた。

「上手くいきますか?」

感情のこもらない、ただの確認のような声に、シエンタは顔をあげてアリオンを見た。

「ねぇ、私に力を貸して」

「はい、何なりと」

「誓いの証に…キスして?」

シエンタの申し出に、アリオンは小さく笑みをこぼす。

「全ては貴女の望みのままに」

そして、シエンタの唇へキスを落とした。

「もう一度」

うっとりとした表情でおねだりするシエンタへ、食べ尽くすように深いキスを重ねていった。

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