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プリンス×プリンセス

第36章 企み

「従者も優秀な者が沢山いますから」

俺がいなくても、きっと姉上を助けてくれるはずだ。

けれど、シエンタにとっては腑に落ちない答えだったみたいだ。

「でも…残してきた仕事とか…不都合はありませんの?」

フェールロコノで、俺がどんな重要な仕事を任されていたと考えているんだろう?

上目遣いで俺を見るシエンタに笑いかけた。

そんなに心配してくれるなんて…シエンタは優しいな。

「まぁ…何かあったとしても、連絡はすぐにつきますから」

だからそんな心配はいらないんだよ。

安心させようとしたのに、シエンタはそれを聞いて目を伏せた。

何を考えているんだろう?

もしかして…俺がフェールロコノへ戻らないのは自分のせいだとか思ってないよな!?

「長い間、フェールロコノにかかりっきりで、私の国を放っていたので」

不安げに揺れる瞳を見つめ返す。

「いいタイミングで戻ってこれたと思ってるんですよ?」

自信をもってハッキリ告げると

「そう…なんですね」

シエンタはぎこちない笑顔を浮かべた。


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