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プリンス×プリンセス

第36章 企み

迎えの車に乗り込み、窓越しにテリオスの姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。

表情はにこやかに。

けれど口元は…

「いい加減にしてよ。バカじゃないの!?」

小声で、悪態を呪詛のように繰り返している。

角を曲がり、完全にテリオスの姿が見えなくなって、シエンタはシートに沈み込むように身を預けた。

そんな彼女の様子に、隣に座ったアリオンは目を細めた。

「お疲れのようなので、カーテンを閉めましょう」

運転手に聞こえるように告げると、リモコンで車窓のカーテンと、運転席との仕切りになるシャッターを閉めた。

「シエンタ様、いかがでしたか?」

「駄目。全然使えない」

二人だけの空間に、完全に気を許したのか。

シエンタは吐き捨てるように冷たく言い放つと、眉を寄せて舌打ちをした。

「あいつ…半年もフェールロコノにいたのに、何をしていたのよ!!」

そのうち、テリオスがフェールロコノへ戻らなければならなくなるだろうと思っていた。

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