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プリンス×プリンセス

第36章 企み

そうしたら、テリオスに会う名目でフェールロコノへ簡単に出入り出来ると考えていたのに。

当のテリオスは飄々としていて…

あまつさえ、『いい機会だから戻らない』ような発言さえする始末。

「さっさと戻ればいいのに」

親指の爪をギリッと噛むシエンタに、アリオンはくくっと笑い声をもらした。

「笑わないで」

シエンタは軽く睨み付けるものの、拗ねた口調は甘えているようにしか見えない。

それが分かっているからか、アリオンは悪びれる様子もなく

「それで?どうしますか?」

口元を半月状に曲げて、シエンタを促した。

「…どうしたらいいと思う?」

完全に頼りきっているシエンタの髪を一筋指に絡めると

「フェールロコノに戻らないのなら、こちらから出向くのはいかがですか?」

指に絡んだ髪に唇で触れて、艶やかな眼差しをシエンタに向けた。

「どういう事…?」

するりと指を抜き去ると、そのままの流れでシエンタの肩を引き寄せ、耳元で囁いた。

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