テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第38章 奸計(かんけい)

シエンタの真っ直ぐな視線を、ディオは目を細めて受け止めた。

「そうは見えないか?」

「…いいえ。だから伺ったのです」

シエンタは首を小さく振って答えると、口元を引き締めた。

力が入っているのか、唇の端がかすかに震えている。

一体どうしたんだ?

シエンタの態度の変化に違和感を抱きながらも、その理由が理解出来ない。

「…シエンタ?」

俺の呼び掛けにシエンタは目を見開くと、慌てたように顔を伏せた。

「…ごめんなさい…」

震えた声での謝罪は…誰に対してなんだ?

戸惑った表情の姉上に、冷ややかに目を細めたままのディオ。

重苦しい沈黙が辺りを覆いつくし…

そんな時。

扉をノックする音が響き渡った。

「ジューク様。よろしいでしょうか?」

廊下からの従者の呼び掛けに、ジュークが動き扉を開ける。

半開きにした扉の前で、ジュークの部下が何かを囁き、包みを手渡していた。

そんなジュークをその場にいる全員が見ていて…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ