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プリンス×プリンセス

第38章 奸計(かんけい)

「ジューク『様』…?」

アリオンがぽつりと呟く声が聞こえた。

あ、そうだよな。

従者としては同じ立場なのに、様を付けて呼ぶのはおかしいよな。

…と言っても、ジュークの生まれとかを話すのもな…

俺が考えあぐねていると、ディオが口を開いた。

「些細な事が気になるのだな?」

まさかディオに問われるとは思ってなかったんだろうな。

アリオンは一瞬狼狽えて、言葉にならない声を洩らした後、切れ切れに謝罪した。

「…っ。申し訳、ありません」

深々と頭を下げるアリオンに、ディオは小さく首を振る。

「別に謝る必要はない。『些細な事』だ」

「ディオ…?」

姉上がディオを窺うように見ている。

姉上も、何となく感じ取っているんだろうか?

ディオが…口調は平然としているんだけど、雰囲気が…

チラリとディオを見れば、ジュークを見ながら片方の口角をわずかに上げて…

笑って、る?

それにしては、目が…

何かを企んでいるように、冷酷な色を帯びている。

分からないけど…そんな気がした。

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