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プリンス×プリンセス

第38章 奸計(かんけい)

「テリオス様…」

シエンタがか細い声で俺の名を呼び、困惑した色の瞳を向けてきた。

さっきまでの強気はどこへ行ったんだろう?

それほどにこの空気が重苦しいんだろうか?

「大丈夫だよ」

安心させようと、笑いかけて手を伸ばす。

だけど俺の手がシエンタの手を取る前に、ディオの声が発せられた。

「ジューク。何があった?」

その声に、扉を閉めたジュークが動きを止めた。

……ん?

その手に提げている包み。

その隙間から覗いているのは…白い…

「それは…先程の『贈り物』か?」

その言葉に、シエンタの肩がピクリと震えた。

そうだ。

シエンタが姉上にプレゼントしていた、白いウサギのぬいぐるみ。

それの耳が覗いていた。

「それがどうかしたのか?」

ディオの質問に、ジュークは一瞬姉上を見て…

諦めたように、ため息をついた。

…何だっていうんだろう?

ジュークの様子に、幾ばくかの不安を感じ取ってしまう。

すると、ジュークが笑みを浮かべた。

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