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プリンス×プリンセス

第38章 奸計(かんけい)

「シエンタ…?」

何だってそんなものを姉上に…?

シエンタに差しのべていた手が、力を失ってだらりと垂れた。

そんな俺の様子に、ただならぬものを感じ取ったんだろうか?

「違う!私じゃないの!!」

シエンタが激しく首を振って否定する。

必死に否定する姿は、とても嘘をついているようには見えない。

…だけど、さ。

私じゃない、って事は…

「仕込まれてるのは知っていた、と?」

ディオが首を傾けてシエンタを見る。

腕を組み、顎を引いて見るその目は、やけに愉しげに細められていた。

「そんな…どうして…?」

姉上は息を詰めてシエンタを見ている。

その姉上の視線を受け止められず、シエンタは俯いてしまった。

テーブルの下で握り締められた拳が微かに震えている。

「シエンタ…」

もう一度呼び掛けて、側に寄ろうと立ち上がりかけた。

…その時。

「では、あなたが?」

ジュークが放った一言が、部屋の空気を硬く変えた。

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