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プリンス×プリンセス

第38章 奸計(かんけい)

ジュークの声は、問いかけではなく確認だと言うかの如く鋭かった。

そして、その視線の先には…

「アリオン…」

シエンタの泣きそうな声での呼び掛けに、唇を噛み締めるアリオンがいた。

眉間に皺を寄せたその表情から、思いあぐねているのは明らかだ。

「何も仰らないのですか?」

ジュークの問いかけに、眉間の皺がより一層深くなる。

その表情で、仕込んだのは自分だと白状しているのと同じなのに。

何で何も言わないんだ?

静寂の中、皆が思い思いの表情でアリオンを見つめる。

その視線に耐えかねたように、アリオンが口を開きかけた…

その時。

コンコンコン

小気味良いほどに軽やかなノック音が響いた。

緊張が殺がれたのか、その場の人々が肩を落としたり視線をさ迷わせたりする中、ジュークはため息を1つこぼすと、先程ノックされた扉へ呼び掛けた。

「…はい。何事ですか?」

「失礼します。アリオン殿へお電話です」

…え?

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