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プリンス×プリンセス

第38章 奸計(かんけい)

アリオンがあんな態度を取るなんて。

電話の相手は一体何者なんだろうか?

「キャロル女史って…?」

小声でシエンタへ質問すると、硬い声で答えてくれた。

「お母様…王妃直属の、お世話係です」

その『お世話係』という言い方が、ただの侍女ではない存在なんだと言っているように聞こえた。

実際、アリオンにとってはそうなのかもしれない。

携帯電話を手にしても、すぐに耳に当てようとはせず、俺たちに頭を下げた。

「申し訳ありません。下がらせて頂きます」

そう言って部屋から出ようとするアリオンへ、ディオが呼び掛けた。

「ここで出ても構わない」

ディオの予想外の申し出に、アリオンは戸惑った表情をしている。

「は…ですが…」

そうなるのは無理ないよな。

主人が歓談している場で私的な電話に出るなんて、従者としてはあり得ないだろう?

だけど、ディオは足を組んで椅子に深く腰掛けると、腕を組んで肩をすくめた。

「至急なのだろう?」

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