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プリンス×プリンセス

第39章 気持ちが悪い

「こんな大々的に公表されて、テリオスと別れたら…もう他国でも婚姻の話はなくなるでしょうね」

淡々とした…何もかもを諦めてしまったかの声。

俺の知ってるシエンタは、いつもにこやかで明るくて、子供みたいにあどけない、真っ直ぐな子。

目の前にいるのは…本当にシエンタなのか?

「決してそんな事は…」

アリオンの慰めに首を振ると、にっこりと微笑んだ。

「いいの。…むしろ私はその方がいい」

諦めとか、嘆きとかの色は一切ない、心からの微笑み。

シエンタのこんな嬉しそうな表情をはじめて見た…。

シエンタにつられたのか、アリオンも笑みを浮かべる。

ぎこちない、泣き笑いのような笑みだったけど…でも、こいつのこんな顔もはじめて見た。

何だ…お互い、想い合ってるんじゃないか。

二人の表情に、自然と俺の頬も緩む。

するとディオが口を開いた。

「では…どうする?」

「帰ります」

「え?」

「シエンタ様?」

シエンタの答えに、俺とアリオンが驚きの声を上げた。

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