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プリンス×プリンセス

第39章 気持ちが悪い

「シエンタ。テリオスには一言もないのか?」

そう投げ掛けられて。

シエンタはため息をつくと、振り向いて俺を見て、小首を傾げた。

「ごめんなさいね?巻き込んでしまって」

形だけの謝罪。

そんな言葉がぴったりな位、思いのこもらない口調で言われた。

それに対して…何て言ったらいいんだ?

利用されていい迷惑だ、とか、姉上を巻き込むことはなかったんじゃないか、とか。

言いたいことは色々あるんだけど…

それでも。

「いや…」

シエンタの気持ちを考えると、何も言えなくて。

サーバル国へ戻ったら、騒ぎになっているんだろうか?

自分がしたこととはいえ、アリオンと離れなければならない事態に陥らなければいいんだけど…

そんなことを考えていると

「テリオス王子、ひとつ言わせて」

シエンタが苛立ったように表情を曇らせた。

「貴方、いい人よね」

え!?

一瞬、聞き間違えたのかと思った。

言葉としては間違えようのない、褒め言葉だ。

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