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だけどシエンタの顔は、さっきと変わらないしかめ面で…

何でこんな不満そうな表情なんだ!?

「自分の事よりも、人の事ばっかり考えてる。今もそうなんじゃない？」

そんな事もないんだけどな。

でも実際、シエンタの心配をしてしまったのは当たってる。

とぼけようかと思ったのに、それよりも先にシエンタが感付いたようだ。

ため息をついて、口の中で何かを呟くと、吐き出すように言った。

「いい人過ぎて…イライラする」

「それは…悪かった」

「人の顔色ばかり見ないで、自分の意思を表に出したら？」

もう一度ため息をつき、ミルクティーブラウンの髪を肩の後ろへ追いやるように払うと

「その方がずっと…王子らしいわよ？」

口の端をきゅっと引き締めて俺を見上げた。

無理やり作ったっぽい笑み。

でも…笑みを浮かべてくれるだけ、怒りは収まってる…んだろうか？

「ありがとう」

笑みを向けてくれた事にお礼を言うと、シエンタは怪訝な表情を浮かべた。