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プリンス×プリンセス

第41章 裏工作

「どんなって…まだ実感はないわ」

姉上は自分のお腹に手を置き、ゆっくりと擦った。

「もっと成長したら、分かるようになると思うけど」

そう言って小さく笑う。

あ、何か…慈愛に満ちた表情ってこういうのを言うのかな?

母親の顔をする姉上に、違和感と言うか…

戸惑ってしまう。

「ねぇ、テリオス?」

不意に呼び掛けられて。

目を見開いて姉上を見れば

「あなたは…喜んでくれる?」

お腹に手を置いたまま、俺をじっと見ていて…

「それは…当然だろ」

その目に、嘘はつけなかった。

だけど、本当の事も言えない。

自分でも不自然だと思うくらい、無難な言葉を口にすると

「…そうね。そうでしょうね」

姉上は自分に言い聞かせるように呟いた。

何でそんな反応なんだ?

あなた『は』ってどういう意味だ?

「…姉上は?」

聞き返せば、姉上がびくりと体を震わせた。

「嬉しくない?」

まさか、そんな訳ないだろ?

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