無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

周りを取り囲む空気が、妙に冷え冷えとしているような…

居づらささえ感じ始めた頃、ジュークが低い声で否定した。

「いいえ」

否定したけど…

その声は、心から俺を歓迎しているものではなかった。

「ティアナ様にとって貴方が支えなのは確かですし」

屈んでいた背筋を直し、俺から少し離れると

「貴方がティアナ様を思う気持ちも、偽りでないことは分かっていますから」

そして、いつもの笑みを浮かべた。

いつもの…感情を抑え込んだ、笑み。

「…そうか」

俺がこの国に戻ったときもそうだったよな。

姉上を支えようって言ったときの顔もそうだった。

あの時から、お前はそう思っていたって事か。

苦笑いを浮かべると、それを見たジュークは笑みを消した。

「私の感情はどうでもいいでしょう」

ジュークの緑色の瞳が、暗い色に沈み込んでいる。

その色に引き込まれて、目を離すことが出来ない。

ドクン、ドクンと、鼓動が激しくなっていった。