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プリンス×プリンセス

第43章 酔ったせいにして

「城で働いている者の中で、忠誠心のあるものを選んだらしい」

そう言って俺の手から書類を取ると、わざわざ裏返してサイドボードの上へ戻した。

そして、空いたグラスにワインを注ぐと、席に座り直し、ため息をついた。

「全く…慣習とは煩わしいものだな」

「慣習って…」

「国王も自らの身をもって間違いに気付いたはずなのに…何故繰り返そうとするのか」

もう一度ため息をつくと、グラスの中身を一息で飲み干した。

慣習。間違い。そして、夜伽。

言葉を組み合わせてたどり着いたのは、たった1つだけだった。

「もしかして、ジュークの母親って…」

言いかけた俺の言葉に被せるように、ディオが言葉を紡ぐ。

「王妃が初めて子供を授かった時の、夜伽相手だったそうだ」

やっぱり。

「まさかその相手も身籠るとはな」

何が可笑しいのか、ディオは低い声で笑っている。

その子供がジュークって訳か。

あれ?

でも…まてよ?

計算が合わなくないか?

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