テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第44章 唇の痕

甘い感情に包まれて、こういう幸せもあるのかなって実感していた…ら。

「お前を抱きたい」

頬をくっつけたまま、低い声で囁かれて。

あのなぁ。

さっきとは違う気持ちで、大きく息を吐いた。

結局そっちなのかよ!?

「簡単に言うな!」

ディオの頬を押して離れると、うつむいて足元に視線を走らせる。

お前とそういう関係になるのって、姉上を傷付けるのと同じことだろ?

それは出来ないって、ずっと言っているのに!

「お前が拒むなら、他の者にするか」

……は?

俯いていた顔を上げて、ディオを凝視する。

「メイドを相手にするのは気がすすまないがな」

お前…っ!

さっきと言ってることが違うだろ!?

「他の女に手をつけたと聞いて、ティアナはどう思うだろうな」

意味ありげな視線を送られて、無言でディオを睨み付ける。

こいつの側にいられるだけでもいいかなって思ってたのに。

俺の気持ちとか、何も考えてないだろ!!

ストーリーメニュー

TOPTOPへ