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プリンス×プリンセス

第44章 唇の痕

「どうだ?」

黙ったままでいると、ディオが静かに聞いてきた。

その声に、苦笑いを浮かべる。

相変わらず強引だな。

そして…俺の返事なんか分かってるのに、敢えて聞くんだな。

俺が自分で決めたような形にしたいんだろ?

『俺の側にいろ』

言われたときはときめいたし、嬉しいとも思った。

あの時、お前を好きだって自覚したのに。

「お前は知らないだろうけど」

こいつに初めてヤラれたとき、ずっと強い力で床に押さえ付けられていた。

無理やりだったから、ってのもあるけど。

『何か…傾いてるって言うか…捻りました?』

マッサージしたカムリも不思議がるくらいに、体を曲げられて…

「俺はあの後、首から腰まで痛くて、ひどい目に合ったんだぞ!?」

あんなの、抱かれたって言わない。

襲われたんだ。

「だから?」

短く問われて、言葉に詰まる。

だから?

お前にとっては、それくらいの事なのか。

口をへの字に喰いしばって、両手をぎゅっと握りしめた。

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