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プリンス×プリンセス

第44章 唇の痕

「…メイドを抱くって言うから…」

口に出した途端、後悔した。

こんな事、言うつもりじゃなかったのに。

視線をさ迷わせる俺に

「お前は…本当にすぐに信じるんだな」

呆れたような馬鹿にしたような、いつもの口調で話すと、くくっと喉の奥で笑われた。

「は…!?」

笑い話じゃないだろ!?

眉を寄せてディオを見上げれば

「最初に言ったはずだが?」

目を細めて…やけに熱っぽい視線を向けてきた。

「抱きたいのはお前だ、と」

言われた言葉はさっきと同じなのに、目の色が違う。

本気の目、だ。

「お前はどうだ?」

どうだ?

問われて、頭の中の処理が追い付かない。

「どうって…聞かれても…」

俺は…

起き上がろうと手をつくと、その手を上から押さえられた。

「負担にならないよう、加減する」

それを聞いて、吹き出して笑ってしまった。

「加減って…どうするつもりなんだ?」

探るようにディオを見れば…

急に手を引かれ、バランスを崩してベッドに沈み込んでしまった。

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