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プリンス×プリンセス

第44章 唇の痕

「お前はいつもそれだな」

ディオの口調が変わった。

さっきまでとは違う、冷たさをまとった声。

すると、急に腕を掴まれた。

荒々しく腕を引き上げられ、隠していた顔を曝される。

驚いてディオを見上げれば

「ティアナの為にどれだけのものを捧げるんだ?」

何でそんな…顔を歪めて、辛そうな表情をするんだ…?

何も言えず、ただディオを見ていると

「よく覚えておけ」

腕を掴んでいた手で、今度は頬を触られた。

「俺にとって、お前はティアナの代わりなどではない」

「は…」

何を言ってるんだ!?

目を見開いて、ディオを見つめた。

寄せられた眉の下で、垂れ気味の目が苛立ちの色を帯びる。

そして、頬に触れた手が動き…

ぐにっと頬を摘ままれ、横に引っ張られた!

「いっ…!いででっ!!」

「惚けるな。聞け」

聞いてる!!聞いてるけど!!

今までのお前ならそんな事言わなかっただろ!!

指を離されたけど、摘ままれた部分はジンジンと痛みを発している。

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