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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

頭を振って考えを追いやる。

今は…もう考えるのをやめよう。

ため息をついて周りを見回せば…

おや?

何やら思案顔で歩くカムリの姿を捉えた。

「カムリ、どうしました?」

声をかければ、我に返ったとばかりにびくりと肩を揺らしてこちらを向き

「あ…ジューク様!」

俺だと分かると、目を見開いて姿勢を正した。

そこまで畏まる必要は無いんだが。

苦笑いを浮かべてカムリに近寄ると、カムリは少し迷いの表情を浮かべた後

「ジューク様は…城内の出来事をよくご存知ですよね」

困ったように目を泳がせて訊ねてきた。

城内の出来事?

一体何の事なんだろう?

「まぁ…それなりには」

ディオチェスター様の傍で遣えている以上、ある程度の事柄は耳に入るし、入れるようにもしている。

だから、カムリの話もその内の一件かと思っていた。

「あの…テリオス様の事…ですが」

「はい」

カムリは一瞬眉を寄せて迷った後、決意を固めたように強い眼差しで話した。

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