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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

「以前、テリオス様の部屋で事件とか事故とか…何か『いわく』のようなものはありましたか?」

「いわく…ですか?」

真剣な顔つきで訊いてくるから、何かと思ったら…

「何かあったのですか?」

わざわざ訊ねてきた理由を知りたくて聞いたのに、カムリは怯えたような素振りで

「やっぱり何かあったんですか!?」

…その、すがるような目は何なんだろう?

「いえ、そうではなく」

とにかく落ち着かせよう。

カムリに笑いかけると

「私がこの城に来てから、いわくなどという話は聞いたことがありません」

迷いなくハッキリと言い切る。

すると、カムリの表情から力が抜けた。

「部屋がどうかしたのですか?」

重ねて訊けば、カムリは眉を下げて

「あの…テリオス様が」

言いかけて言葉を止めるから…

苛立ちを抑えて、にこやかな眼差しで先を促すと

「その…金縛りにあわれたそうで」

……は?

話の内容に、思わず瞬きを繰り返してしまった。

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