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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

俺の対応に不安を感じたのか、カムリは必死に訴えてくる。

「朝食のお誘いを致しましたら、体調も優れないとかで召し上がりたくないと仰られて」

その様子に、嘘ではないと理解したものの…

「金縛りで…?」

その理由が…やけに嘘臭い。

眉を潜めてしまうと

「これで二度目なんです!」

必死さのせいなのか、語気は強まり、間合いも詰められる。

「以前も食欲がないって1日部屋で休まれていたんです!」

その様子に驚いて目を丸くしてカムリを見れば、あ、と息を飲んで

「何か…心配で……すみません」

自分でも興奮したことを恥ずかしく思ったのだろうか?

頬を赤く染めて、頭を下げて謝ってきた。

執事として主人を心配する気持ちは分からなくはない。

けれど…

「今、テリオス様は自室でお休みに?」

「はい」

「金縛りにあわれた部屋で?」

「はい。…あ……」

そこでようやくカムリも気付いたようだ。

金縛りなど嘘なのでしょう?

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