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プリンス×プリンセス

第45章 痕跡

「大丈夫なのでは?」

「え…でも…」

明らかに嘘だと分かっただろうに、カムリは迷いの表情を浮かべていて…

何故、迷うのか。

いつの間に、テリオス様に対して忠誠を抱くようになったのだろう?

「あなたは優しいですね」

思わず笑みをこぼすと、カムリが戸惑ったように瞬きをした。

「ジューク様…?」

「ともかく、ゆっくり休ませて差し上げましょう」

嘘をつく理由は検討もつかないが。

深く考える必要も無いだろう。

そう判断すると、カムリもやっと微笑んだ。

「はい」

先程とは違う足取りのカムリを見送って、顎に手を当てて考える。

二度目。

テリオス様が床に臥せるのも珍しい。

一度目は…あの時だろうか?

ティアナ様がテリオス様の為にレモネードを作られた、あの時。

『テリオスにはいつも迷惑をかけていて…私が出来ることはこれくらいしか…』

泣きそうな表情で首を振っていた。

テリオス様の不調を聞きつけたならば、今回もテリオス様を思ってお作りになるのだろうか?

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